ジャーナルレター 準備中
インタビュー

「学校の中に、社会をつくる。」
——結婚式場だった場所から始まった、アメージングカレッジの実験

2026.09.21/OSUSO JOURNAL 編集部
アメージングカレッジの看板とチャペル

学校には、教室がある。
先生がいる。
時間割がある。

では、「社会」はどこにあるのだろう。

多くの場合、子どもは学校を卒業してから社会へ出る。

でも、本当にその二つは分ける必要があるのだろうか。

町山辰也氏は、アメージングカレッジについて、こんな考えを話している。

「この中に社会を作る」
学校の中に、仕事がある。
知らない大人がやってくる。
撮影が行われる。
子どもがその様子を見る。

社会を学ぶのではなく、社会そのものに触れる。

そこには、教科書とは違う学びがある。

結婚式場が、学校になった

アメージングカレッジの舞台は、もともと結婚式場として使われていた建物だ。

施設が使われなくなり、「何かに変えてほしい」という話が町山氏のもとへ届いた。

ちょうど別の場所で、森の学校のような場をつくる構想があった。

二つの話がつながり、この場所で学校を始めることになった。

学校としてつくられた建物ではない。

だからこそ、一般的な学校とは少し違う使い方が生まれている。

施設の一部には保育園も入り、スペースは外部にも貸し出している。

特徴的な建物であることから、ミュージックビデオや映画などの撮影に使われることもあるという。

普通なら、
「授業の邪魔になる」
と考えるかもしれない。

でも町山氏は、それも教育になると考える。

5分をつくるための、何時間

ミュージックビデオの完成映像は、わずか数分かもしれない。

でも、その数分のために、多くの人が動いている。

カメラを扱う人。
照明をつくる人。
出演する人。
準備する人。
何度も撮り直す。
同じ場面を繰り返す。

子どもたちは、その現場を目の前で見る。

「5分の映像に、こんなにたくさんの人が、こんなに時間をかけているんだ」

エキストラとして参加すれば、さらに違うことが分かる。

一度撮れば終わりではない。
テイク1。
テイク2。
またやり直す。

私たちは完成したものだけを見て暮らしている。

映画も。
商品も。
サービスも。
街も。

その裏側にいる人の仕事は、なかなか見えない。

仕事を知るとは、完成品ではなく、その向こう側にいる人を見ることなのかもしれない。

「社会科」は、社会の中にある

学校では、さまざまな仕事について学ぶ。

でも、説明を聞くことと、その仕事を目の前で見ることは違う。

撮影現場を見る。
アーティストと作品をつくる。
さまざまな大人と出会う。

誰かが働いている横で、自分たちも生活する。

すると社会は、遠い未来の話ではなくなる。

「大人になったら働く」
ではなく、
「世の中には、こんな仕事をしている人がいる」

になる。
自分が知らなかった仕事を知る。
知らなかった大人に会う。

その一つひとつが、世界の解像度を上げていく。

学校は、社会から離れすぎていないか

学校は、安全な場所である必要がある。

だから社会との間に境界をつくることにも意味がある。

一方で、その境界が強くなりすぎれば、子どもたちが社会に触れる機会も減っていく。

18歳まで学校。
そこから突然、社会。

それよりも、小さい頃からいろいろな大人の仕事を見ていたらどうだろう。

働く人の楽しそうな顔も見る。
大変そうな姿も見る。
失敗も見る。
やり直すところも見る。

社会は、完成されたものではなく、誰かが毎日つくっているものだと知る。

それ自体が、大きな学びになる。

子どもに見せられる「社会」は何だろう

これは、学校だけに任せる話でもない。

会社。
店。
工場。
農家。
アーティスト。
経営者。
地域で暮らす人たち。

それぞれが持っている日常は、子どもにとって未知の世界かもしれない。

自分にとって普通の仕事を見せる。
少し話をする。
一緒に何かをやってみる。
そんな「おすそわけ」もできる。
学校の中に社会をつくる。

それは、学校を社会と同じ場所にすることではない。

子どもと社会の間にある壁に、いくつもの扉をつくることなのかもしれない。

その扉の向こうに何があるのか。
子どもは、自分で見に行く。
そしていつか、
自分も社会をつくる側になる。

原 綾香
この記事の構成・監修
原 綾香 はら あやか
言語戦略コンサルタント/元アナウンサー・OSUSO JOURNAL 編集監修

NHK秋田放送局・UTYテレビ山梨(TBS系列)でアナウンサーを務め、取材・構成・番組演出まで担当。NHK放送局長賞を2度受賞。その後、経営者向けコーチング会社で営業No.1を決める「S-1グランプリ」に女性で初めて完全優勝。現在は言語戦略コンサルタントとして、経営者のスピーチや営業のプレゼンを支援。「言葉が変われば、選択が変わる」を軸に、事実と当事者の尊厳を大切にした記事づくりを監修しています。

教育を、社会に開いていく

学校を、学校関係者だけでつくらない。それぞれが持っているものを持ち寄る。アメージングカレッジとOSUSOの取り組みを。

OSUSOという挑戦を知る →

社会を変える人の物語を、毎週いちばん早く。

新着記事をお届けするジャーナルレターを、ただいま準備しています。

ジャーナルレターは準備中です OSUSO JOURNAL に戻る