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インタビュー

「子どもだけを見ていても、子どもは変わらない。」
——アメージングカレッジが向き合う、親と子の教育

2026.09.19/OSUSO JOURNAL 編集部
大人と一緒に過ごす子どもたち

学校に行けない子どもがいる。

すると私たちは、その子をどう学校へ戻すかを考える。

何を言えばいいのか。
どう接すればいいのか。
どんな教育なら合うのか。

けれど、アメージングカレッジで町山辰也氏たちが向き合ってきたのは、子どもだけではなかった。

その隣にいる親とも、長い時間をかけて話をする。

なぜなら、子どもが苦しんでいるとき、その家庭全体もまた、苦しんでいることがあるからだ。

子どもの問題は、子ども一人だけの問題ではない。

「学校のせいで、こうなった」

町山氏によれば、最初の面談では、親も子どもも誰かを責めながらやってくることがあるという。

学校が悪かった。
先生のせいだ。

あの出来事があったからこうなった。

もちろん、それまでに傷つく出来事があった家庭もある。

それでもアメージングカレッジでは、そこで終わらせない。

町山氏は、
「一生、人のせいにして生きていくんですか」
という話をすることがあるという。
厳しく聞こえるかもしれない。

けれど、それは責任を押しつけるためではない。

過去に起きたことを誰かのせいにし続けても、これからを選ぶ力は戻ってこない。

だから、子どもだけに「変わって」と求めない。

大人も一緒に、自分たちがこれから何をできるかを考える。

親にも、人生がある

子どもが学校で問題を起こす。
親が学校へ呼ばれる。
誰かに謝る。
仕事を抜ける。
また電話が来る。

そんな日々が続けば、親自身も少しずつ追い詰められていく。

町山氏は、最初の面談に3時間ほどかけることもあると話す。

そして親に尋ねる。
これまで何が楽しかったのか。
どんなことが好きだったのか。

話しているうちに、涙が出てくる人もいる。

いつの間にか、
「〇〇ちゃんのお母さん」

であることが生活のほとんどになっていた。

子どもの問題を解決することが、自分の人生になっていた。

だからアメージングカレッジでは、子どもだけではなく、親にも働きかける。

校長らがLINEで家庭とやり取りし、子どもの状態に応じて言葉のかけ方や行動について話すこともある。

子どもに自分らしく生きてほしいなら、親にも自分の人生が必要なのかもしれない。

泣いていた話を、笑って話せるまで

町山氏が印象的な変化として話すのは、親たちの表情だ。

かつては泣きながら話していた子どもの出来事を、
「あんなこともあったよね」
と、親同士で笑って話せるようになる。

起きた出来事は変わらない。

でも、その出来事との距離が変わる。

子どもの行動に振り回され続けるのではなく、少し離れて見られるようになる。

親が変わる。
家庭の空気が変わる。

すると、子どもの様子にも変化が出てくる。

教育というと、私たちはつい「子どもに何を教えるか」を考える。

けれど町山氏たちが見てきたのは、もっと広い関係だ。

子どもは、家庭や学校との関係の中で生きている。

一人だけを切り取って考えることはできない。

「誰が悪いか」から離れてみる

これは、親を責める話でもない。
先生を責める話でもない。
子どもを責める話でもない。
むしろ反対だ。

誰か一人を「原因」にしないということだ。

学校でうまくいかなかった。
家庭が疲れていった。
親も余裕を失った。
子どももさらに苦しくなった。

そんな循環があるなら、必要なのは犯人探しではない。

どこからなら、少し変えられるかを探すことだ。

子どもへの言葉を変える。
親が自分の時間を持つ。
学校との関係を変える。
別の居場所へ行ってみる。

小さな変化が、関係全体を変えていくことがある。

子どもを幸せにする前に

親になると、子どもの幸せを願う。

だからこそ、自分のことを後回しにする。

でも、子どもは大人の言葉だけを見ているわけではない。

大人がどう生きているかも見ている。

自分の人生を楽しんでいるか。
失敗したときにどうするか。
誰かを責め続けるのか。
もう一度、自分で選び直すのか。

教育は、教えることだけではないのかもしれない。

大人が自分の人生を生きる姿もまた、子どもが触れる一つの教育になる。

子どもを変えようとしていたはずが、気づけば大人も変わっている。

そして大人が変わると、子どももまた違う表情を見せ始める。

学校とは、子どもだけが学ぶ場所ではない。

アメージングカレッジの日々は、そんな当たり前を静かに問い直している。

原 綾香
この記事の構成・監修
原 綾香 はら あやか
言語戦略コンサルタント/元アナウンサー・OSUSO JOURNAL 編集監修

NHK秋田放送局・UTYテレビ山梨(TBS系列)でアナウンサーを務め、取材・構成・番組演出まで担当。NHK放送局長賞を2度受賞。その後、経営者向けコーチング会社で営業No.1を決める「S-1グランプリ」に女性で初めて完全優勝。現在は言語戦略コンサルタントとして、経営者のスピーチや営業のプレゼンを支援。「言葉が変われば、選択が変わる」を軸に、事実と当事者の尊厳を大切にした記事づくりを監修しています。

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