ジャーナルレター 準備中
インタビュー

「“使われていない”は、“価値がない”ではない。」
——廃校や未利用地を、もう一度地域の資源へ。キボッチャが考える「ロスを価値に変える」地域づくり

2026.09.24/OSUSO JOURNAL 編集部
ビニールハウス

使われなくなった学校。
耕作されなくなった畑。
活用されないまま残る土地。

私たちは、役割を失ったものを見ると、つい「もう使えないもの」と考えてしまう。

でも、本当にそうだろうか。

使われていないことと、価値がないことは、同じではない。

宮城県東松島市で「キボッチャ」を運営する貴凛庁株式会社が掲げている考え方の一つに、「ロスを価値に変える」がある。

その対象は、食べ物だけではない。
廃校も。
使われていない畑も。

地域の中で眠っているものを、もう一度暮らしに必要な資源へ変えていく。

そこには、「新しいものをつくる」とは少し違う地域づくりがある。

廃校になった学校に、次の役割をつくる

キボッチャの拠点は、東日本大震災で被災した旧野蒜小学校を活用している。

学校としての役割を終えた建物を使い、人が集まり、防災を学び、宿泊できる場所へ変えてきた。

そして現在は、さらにその先にある「スマートエコビレッジ」の構築が進められている。

一度役割を終えた場所に、別の役割を与える。

それは単なる再利用とは少し違う。

「いらなくなったもの」を使うのではなく、「まだ使える価値」を見つけ直す。

キボッチャの未利用資源に対する考え方は、そこから始まっている。

畑も、土地も、「余っているもの」ではない

取材の中では、耕作放棄地や使われていない畑なども「未利用資源」として捉えていることが語られている。

使われていない畑で食べ物をつくる。

空いている場所を、必要なときに人を受け入れられる場所へ変える。

いまある資源を、暮らしの中へ戻していく。

地域に足りないものを外から持ってくる前に、
すでに地域にあるのに、使われていないものはないか。

そう問い直している。

「ないもの探し」から、「あるもの探し」へ

地域課題について考えるとき、話題になるのは「足りないもの」であることが多い。

人がいない。
お金がない。
場所がない。
仕事がない。

もちろん、本当に足りないものもある。

けれど、その一方で、
すでにあるのに使われていないものもある。

場所。
食材。
土地。
人の経験。
地域に残るつながり。

地域を豊かにする方法は、新しいものを増やすことだけではない。

止まっている価値を、もう一度動かすことでもある。

私たちの周りにも、「未利用資源」はある

この考え方は、地域づくりだけの話ではない。

もう着なくなった服。
使っていない部屋。
仕事で身につけた知識。
誰にも話していない経験。

自分にはもう必要なくても、誰かには必要かもしれない。

OSUSOという名前にも、そんな考え方がある。

自分が持っているものを、必要とする次の誰かへ渡す。

価値がなくなったのではない。行き先がなくなっているだけかもしれない。

キボッチャが見ている「未利用資源」とは、廃校や畑だけではない。

私たちが「もう使えない」と決めてしまったものすべてに、
もう一度問いを投げかける言葉なのかもしれない。

これは、本当に終わったものだろうか。

それとも、
まだ次の役割に出会っていないだけなのだろうか。

原 綾香
この記事の構成・監修
原 綾香 はら あやか
言語戦略コンサルタント/元アナウンサー・OSUSO JOURNAL 編集監修

NHK秋田放送局・UTYテレビ山梨(TBS系列)でアナウンサーを務め、取材・構成・番組演出まで担当。NHK放送局長賞を2度受賞。その後、経営者向けコーチング会社で営業No.1を決める「S-1グランプリ」に女性で初めて完全優勝。現在は言語戦略コンサルタントとして、経営者のスピーチや営業のプレゼンを支援。「言葉が変われば、選択が変わる」を軸に、事実と当事者の尊厳を大切にした記事づくりを監修しています。

民間の力で、暮らしの基盤をつくる

行政に委ねるだけではなく、企業や住民が持ち寄る。キボッチャとOSUSOが目指す「民間インフラ」を。

OSUSOという挑戦を知る →

社会を変える人の物語を、毎週いちばん早く。

新着記事をお届けするジャーナルレターを、ただいま準備しています。

ジャーナルレターは準備中です OSUSO JOURNAL に戻る