一つの地域でつくった仕組みを、
別の地域でも生かしたい。
そう考えたとき、一つの壁がある。
場所を探す。
地域との関係をつくる。
仲間を集める。
すべてを一から始めようとすれば、時間も力も必要になる。
でも、
すでに地域との接点を持っている人たちがいたら。
そこに、自分たちが持っている知見を組み合わせたら。
全部を自分たちだけで用意しなくても、できることは増やせる。
キボッチャと「おかえり集学校」の連携は、その可能性を示している。
二つの取り組みが、接続した
キボッチャと「おかえり集学校」は、同じ事業ではない。
キボッチャは宮城県東松島市を拠点に、廃校を活用したスマートエコビレッジや、平時と有事をつなぐ民間インフラづくりを進めている。
一方、「おかえり集学校」側には、廃校を活用した拠点のネットワークがある。
キボッチャが、そのネットワークを持っているわけではない。
それぞれが別々に持っていたものが、連携によって接続された。
キボッチャが培ってきた仕組みや知見と、おかえり集学校が持つ廃校との接点。
その二つを組み合わせながら、新たな展開を模索している。
同じものを、そのまま増やすわけではない
重要なのは、全国の廃校をすべて同じ形の「キボッチャ」に変えるわけではないことだ。
取材では、
「各集学校さん、特徴が違いますので」
という言葉もあった。
地域が違えば、状況も違う。
そこに暮らす人も違う。
すでに行われている活動も違う。
必要とされているものも違う。
だから、それぞれの地域や拠点との合意を取りながら進めていく。
広げることと、コピーすることは違う。
東松島で生まれたものを、そのまま別の場所へ移すのではない。
そこで得た経験や考え方を、次の地域に合う形へ変えていく。
「連携」は、足りないものを補うだけではない
協業というと、
自分たちに足りないものを、相手に補ってもらう関係を想像する。
でも、この連携から見えてくるのは、それだけではない。
キボッチャには、東松島で積み重ねてきた防災やスマートエコビレッジの知見がある。
おかえり集学校側には、廃校を活用した拠点とのつながりがある。
持っているものが違うからこそ、組み合わせる意味がある。
連携とは、「できないことを頼むこと」ではなく、「違う強みを接続すること」なのかもしれない。
一方がもう一方になる必要はない。
それぞれの役割を持ったまま、重なる部分をつくっていく。
一つの地域の経験を、閉じ込めない
東松島で積み重ねた経験を、東松島だけのものにしない。
別の地域へ渡す。
その地域に合う形を考える。
そこでまた新しい知恵が生まれれば、それを次へつなぐこともできる。
全国展開という言葉を聞くと、
同じ看板の施設が各地に増えていく光景を想像しがちだ。
でも、キボッチャとおかえり集学校の連携から見えてくるのは、少し違う広がり方だ。
増やそうとしているのは、同じ建物ではない。
地域から地域へ渡していける、経験や仕組みだ。
一人ですべてを持たなくていい。
一社ですべてをつくらなくていい。
一つの地域だけですべての答えを出さなくていい。
それぞれが持っているものを持ち寄れば、
一人では届かなかったところまで進めるかもしれない。
「全部、自分たちで持たなくていい。」
それは、地域づくりだけではなく、
複雑な社会課題に向き合うときにも、
大切な考え方なのかもしれない。
