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インタビュー

「地域は、そこに住む人だけでつくるものだろうか。」
——1,000人のデジタル住民と進める、キボッチャのスマートエコビレッジ

2026.09.28/OSUSO JOURNAL 編集部
キボッチャ スマートエコビレッジのイメージ

「住民」と聞けば、その土地に住んでいる人を思い浮かべる。

住所がある。
家がある。
毎日そこで暮らしている。

それが、これまでの「住民」だった。

でも。
その場所には住んでいなくても、
その場所のことを考え、
その未来に関わる人がいたらどうだろう。

地域との関係は、「住んでいる・住んでいない」の二つだけなのだろうか。

キボッチャには、1,000人の「デジタル住民」がいる。

1,000人が持つ、一票

キボッチャでは、スマートエコビレッジの構築にDAOの仕組みを取り入れている。

取材時点で、デジタル住民票のNFTを持つ人は1,000人に到達していた。

特徴的なのは、それが単なる会員証ではないことだ。

保有者には、スマートエコビレッジを構築していくうえでの議決権が与えられている。

つまり、施設側がすべてを決め、それを利用者が受け取るだけではない。

この場所をどうつくるのかを、参加する人も一緒に考える。

「利用者」から「つくり手」へ。
地域との関わり方が、少し変わる。

暮らしに必要なものを、自分たちで考える

キボッチャのスマートエコビレッジでは、食やエネルギー、水、住居、移動など、暮らしに関わる複数の要素について研究・実証が進められている。

その根底にあるのが、「自分たちの生活インフラを、自らの手でもつくっていく」という考え方だ。

誰かが用意したものを使うだけではない。

自分たちが暮らすために何が必要なのかを考える。

選ぶ。
参加する。

そのプロセスを通じて、地域や暮らしの問題が「誰かの仕事」ではなくなっていく。

取材では、それによって一人ひとりの意識が「自分ごと」に変わっていくことも語られていた。

地域を自分ごとにするには、そこに住むことだけでなく、「決める側」に入ることも一つの方法なのかもしれない。

距離があっても、関係はつくれる

デジタル住民という仕組みがおもしろいのは、地域との関係を住所だけで決めないところにある。

離れた場所に暮らしていても、
考えることはできる。
参加することはできる。
応援することはできる。

もちろん、実際にその土地で暮らす住民と、デジタルで参加する人は同じではない。

でも、「住んでいないから関係がない」と切り離す必要もない。

地域と人との間には、
住民か観光客か、だけではない関係があっていい。

「自分の地域」は、一つでなくていい

生まれ育った場所。
今暮らしている場所。
仕事で出会った場所。
旅をして好きになった場所。

誰かとの出会いをきっかけに、気になるようになった場所。

私たちは、いくつもの土地と関係を持ちながら生きている。

その中に、
「ここに住んではいないけれど、なくなってほしくない」
と思う場所があってもいい。

住所は一つでも、関わる地域は一つでなくていい。

キボッチャの1,000人のデジタル住民が示しているのは、そんな地域との新しい距離感でもある。

「どこに住んでいますか」だけではなく、
「どの場所に関わっていますか」。
いつか、
そんな問いの方が自然になる日が来るのかもしれない。

原 綾香
この記事の構成・監修
原 綾香 はら あやか
言語戦略コンサルタント/元アナウンサー・OSUSO JOURNAL 編集監修

NHK秋田放送局・UTYテレビ山梨(TBS系列)でアナウンサーを務め、取材・構成・番組演出まで担当。NHK放送局長賞を2度受賞。その後、経営者向けコーチング会社で営業No.1を決める「S-1グランプリ」に女性で初めて完全優勝。現在は言語戦略コンサルタントとして、経営者のスピーチや営業のプレゼンを支援。「言葉が変われば、選択が変わる」を軸に、事実と当事者の尊厳を大切にした記事づくりを監修しています。

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