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インタビュー

「自分の人生のハンドルは、自分で握る。」
——就職先を決めることより、自分で決められる人を増やす。アスレチカのキャリア支援

2026.10.08/OSUSO JOURNAL 編集部
スーツ姿の後ろ姿

「何になればいいですか?」

キャリアに迷ったとき、誰かに答えを求めたくなる。

どの会社へ行けばいいのか。
どんな仕事なら安定しているのか。
何を選べば失敗しないのか。
アスリートも同じだ。

競技人生が終わったあと、突然「次」を決めることになる。

しかし、アスレチカ代表・宮越祐介氏が目指しているのは、アスリートに「正解のキャリア」を教えることではない。

宮越氏が取材の中で語ったのは、
「自分の人生の意思決定のハンドルを握る」
ということだった。

最初にやるのは、就職活動ではない

アスレチカのプログラムは6か月間。

そこで重視しているのは、自己理解、社会理解、ビジネスの基礎だ。

まず、自分を知る。
何が好きなのか。
何を大切にしたいのか。

競技を通して何を身につけてきたのか。

そして社会を知る。
どんな仕事があるのか。
どんな会社があるのか。
どんな生き方があるのか。

自分と社会の両方を知ったうえで、その接点を探していく。

だから、プログラムを終えた人の進路は一つではない。

起業する人がいる。
キャリアチェンジする人がいる。
競技へ戻る人もいる。

大切なのは、「何を選んだか」だけではない。

自分で選んだかどうかだ。

「競技しかない」から離れる

アスリートは、一つの競技に人生の多くを使う。

それは強さの源になる一方、「自分にはこれしかない」という感覚にもつながる。

もし競技しか知らなければ、競技を続けることさえ「選択」ではなくなる。

ほかの道を知らないから、そこにいる。

けれど社会を知れば、状況が変わる。

経営者に会う。
仕事を知る。
ビジネスを経験する。

競技以外でも自分の力が通用すると知る。

そのうえで「それでも競技を続ける」と決めることができる。

宮越氏によれば、キャリアについて考え始めたことで、競技の成績が上がった選手もいる。

社会を知ることは、競技から気持ちを離すことではなかった。

自分で競技を選び直すことにもつながっていた。

人生のハンドルを握るための「人」

もちろん、選択肢を知っただけで、すぐに動けるわけではない。

だからアスレチカは、人とのつながりもつくる。

経営者とアスリートをつなぐ。

さらに、アスリート一人ひとりに担当者をつけ、定期的に面談する仕組みも計画している。

キャリアについて相談する。
困っていることを聞く。

時には社会人として必要なことを伝える。

宮越氏は、「一人にさせない」という考えを大切にしている。

ハンドルを握るのは本人だ。
でも、一人で運転する必要はない。
道を知っている人がいる。
困ったときに相談できる人がいる。

「やってごらん」と言ってくれる仲間がいる。

それだけで、行ける場所は増えていく。

宮越氏自身も、ハンドルを握り続けている

宮越氏自身、アスレチカから役員報酬を受け取っていない。

それでも、自分の活動時間の大半をアスレチカに使っている。

理由を問われると、答えはシンプルだった。

「やりたいからです」

軽井沢から東京へ通い、取材当日もその後にBACの新規営業が3件入っていた。

誰かにやれと言われているわけではない。

自分で決めて、自分で動く。

アスリートたちに伝えようとしている生き方を、宮越氏自身が実践している。

競技を続ける。
辞める。
会社へ入る。
事業を始める。
地域で生きる。
どれが正しいかではない。

アスレチカが増やそうとしているのは、「正しい道を選ぶ人」ではなく、自分の意思で道を選べる人だ。

宮越氏は今日も、自分の人生のハンドルを握っている。

そして、そのハンドルを一人でも多くのアスリートの手に戻そうとしている。

原 綾香
この記事の構成・監修
原 綾香 はら あやか
言語戦略コンサルタント/元アナウンサー・OSUSO JOURNAL 編集監修

NHK秋田放送局・UTYテレビ山梨(TBS系列)でアナウンサーを務め、取材・構成・番組演出まで担当。NHK放送局長賞を2度受賞。その後、経営者向けコーチング会社で営業No.1を決める「S-1グランプリ」に女性で初めて完全優勝。現在は言語戦略コンサルタントとして、経営者のスピーチや営業のプレゼンを支援。「言葉が変われば、選択が変わる」を軸に、事実と当事者の尊厳を大切にした記事づくりを監修しています。

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